放射線科

診療科の紹介

単純写真から最先端画像までの画像診断と、画像誘導下で行う局所治療(インターベーショナルラジオロジー:IVR)、及び放射線治療を行っています。

画像診断部門

高度医療に対応できる医用画像診断装置を導入し、精度の高い画像検査診断を受けていただけます。各診療科から依頼を受けたCTやMRI、核医学検査等の画像検査の画像診断をし、専門医が読影レポートを作成します。院内の患者さんだけでなく、病診連携医療施設からの画像検査依頼にも適時対応し、診断結果をお返事しています。

IVR「画像下治療」部門

IVRとはCT、X線透視(血管撮影)、超音波などの画像診断装置を用いてカテーテル(細長い管)や細い針といった医療器具を使用して行う手技の総称です。腫瘍や外傷、喀血、消化管出血などに対する経カテーテル動脈塞栓術やCTガイド下生検、各種ドレナージなどを行っています。

体を大きく切ったり開けたりせずに体内の病変に対する処置が可能で、患者さんの体への負担が非常に少ないことが最大の長所です。IVRには様々な手技がありますが、当科が施行している主要なものを幾つかご紹介します。

1. 経カテーテル動脈塞栓術

画像誘導下にカテーテルで動脈の中を進み、先端を病変の近くの枝まで到達させます。カテーテルから詰め物(塞栓物質)を注入して血流を遮断する治療法です。腫瘍に対する『兵糧攻め』として有効な場合や、外傷、出産、術後等の出血に対して迅速に止血できる方法として、緊急的に施行することもあります。

胃十二指腸動脈からの出血
塞栓術後、止血されている。

2. 静脈ポート留置

心臓の近くの太い静脈に留置したカテーテルと皮下に埋め込んだポート(大きさが10円玉程度の円盤型器具)を連結させ、点滴による中心静脈栄養や抗がん剤投与が長期間簡単に施行できる新しい点滴システムです。日常の行動がほぼ制限されないのが長所です。

ポートとカテーテル(テルモホームページより引用)
ポート留置後のX線画像

放射線治療部門

主に悪性腫瘍に対する外部照射(体の外から病巣に放射線を照射)や小線源治療(放射線の出るカプセルを体内に挿入して内部から照射)を行っています。放射線治療は悪性腫瘍を治すための根治治療としてあるいは悪性腫瘍による症状を和らげるための緩和治療として、様々な場面で効果が期待できます。外部放射線治療装置は令和3年4月に更新され、より精度の高い、体への負担の少ない治療を実施しています。院内のみならず、病診連携医療施設からの治療依頼にも適時対応しています。

主な疾患

放射線治療:悪性腫瘍全般、甲状腺眼症やケロイドなど一部の良性疾患

診断、治療方針

当院で実施している放射線治療は以下の2種類です。

  • 外部照射装置(リニアック)を用いた外部照射
  • 前立腺癌に対する小線源治療

外部照射について

令和3年4月にリニアックが更新され、高精度放射線治療装置が導入されました。従来の治療に加え、新たに高精度照射が可能になりましたので、代表的なものをご紹介します。

画像誘導放射線治療

リニアックに備わるイメージング装置で、2次元~4次元画像まで取得して骨格の位置から動く病巣の位置まで正確に把握し、病巣を狙い撃ちすることができます。

高精度放射線治療装置の画像
高精度放射線治療装置
定位放射線治療

体内の小さな病巣に対し、大線量をピンポイントで照射する治療技術です。治療回数は病巣の大きさや個数に応じて1回~10回程度で終了します。主に脳転移や肺癌などに用いられます。

肺癌に対する定位放射線治療の画像
肺癌に対する定位放射線治療
肺の病巣に限局した照射が可能の画像
肺の病巣に限局した照射が可能
脳転移に対する定位放射線治療の画像
脳転移に対する定位放射線治療
脳の病巣にピンポイントで照射の画像
脳の病巣にピンポイントで照射
光学式体表面トラッキングシステム

照射部位の位置を合わせる際、通常は皮膚に書いたマークを参照していますが、本システムでは光スキャナで体表面を走査して3次元画像を取得し位置を合わせることができ、皮膚マークよりも正確な治療体位が再現できます。

光スキャナで体表面を走査の画像
光スキャナで体表面を走査
体位のずれは光で表示されるの画像
体位のずれは光で表示される
呼吸同期照射

呼吸と共に動く体内の病巣に対し、胸壁や腹壁の動きをモニターすることにより、呼吸に合わせた照射が可能になり、より病巣に限局した照射をすることができます。肺癌や乳癌、肝癌、膵癌など胸部や上腹部の病巣に対して用いられます。乳癌においては深吸気息止め照射(DIBH)を行うことにより、心臓への線量をより低く抑えることが期待できます。

患者さん装着用のゴーグルの画像
患者さん装着用のゴーグル

前立腺癌に対する小線源治療について

当院では転移のない限局性前立腺癌に対し、2020年3月から小線源治療を開始しております。当院における小線源治療の特徴は、以下のとおりです。

  • ヨウ素125による低線量率小線源療法を行っています。
  • 低リスク~高リスクまで対応しています。高リスクに対してはトリモダリティ(小線源+外部照射+ホルモン治療)を行っています。前任の徳島大学病院ではトリモダリティにて良好な治療効果が得られています。
  • 放射線治療の副作用として問題となる直腸障害に対して、スペーサー(前立腺と直腸との間にゲル状の物質を挿入する)を使用し直腸線量の低減に努めています。
小線源治療計画の画像
小線源治療計画
前立腺に限局して高線量投与が可能の画像
前立腺に限局して高線量投与が可能

医師紹介

Dr.生島 葉子
  • 生島 葉子いくしま ようこ

早期診断・治療につながる検査を心がけています。検査に対する不安・疑問等気軽に声をかけてください。
乳腺科チームの一員として乳腺分野の画像検査を担当しています。
2017年よりCT colonography (CTによる大腸検査)が検査可能になり、内視鏡検査が困難な方等に高評価をいただいています。


  • 診療科・役職放射線科 総括部長
Dr.古谷 俊介
  • 古谷 俊介ふるたに しゅんすけ

がんに対する放射線治療を担当しております。放射線治療は体への負担の少ないがん治療として全身の様々ながんに対し行われています。がん治療に関してお悩みの方はお気軽にご相談ください。


  • 診療科・役職放射線科 診療部長
Dr.岩本 誠司
  • 岩本 誠司いわもと せいじ

画像診断に加え、IVR(画像下治療)を専門としています。
地域医療に貢献できるよう、頑張ってまいります。


  • 診療科・役職放射線科 主任医長
Dr.仁木 孝明
  • 仁木 孝明にき たかあき

  • 診療科・役職放射線科 非常勤医師 (元副院長)
Dr.神原 康夫
  • 神原 康夫かんばら やすお

私は放射線診断を専らとする医師です。
主に、CTやMRI等で得られた医療画像を介して診療を行っていますが、患者様と対面診療する機会が少ないため、一般の方にとっては未知の存在のようです。
通常、放射線科での検査は、放射線・電磁波・高磁場・造影剤等を使用するために、ある種の危険を伴います。
これらの影響を最小限に抑えつつ、得られる画像情報を最大限に活用することによって、患者様のご要望にお応えするため、日々研鑽に努めております。
また、品質管理の行き届いた画像診断装置と熟練のスタッフを揃えていますので、安心してお任せ下さい。


  • 診療科・役職放射線科 非常勤医師

外来診療担当医師表

放射線科

放射線治療
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
(医師) 古谷 俊介 (午前のみ)古谷 古谷 俊介 古谷 俊介 古谷 俊介
総合画像診断
(医師) 担当医 担当医 担当医 担当医 担当医
乳腺・超音波
(医師) 生島 葉子
IVR
(医師) (午前のみ)岩本 誠司

診療実績/学会施設認定

診療実績(2023年)

放射線科検査
乳腺エコー 703
RI検査 79
CT 10,974
MRI 1,954
IVR 79
放射線科治療
放射線科治療 4,200 (うち小線源治療 32)

学会施設認定

  • 日本医学放射線学会
  • 放射線科専門医修錬機関

診療科・部門・センター紹介