平素より、徳島市民病院の運営につきましてご理解ご協力を賜りまして心より感謝申し上げます。
令和6年4月1日に徳島市病院事業管理者を拝命し2年目となります。市民病院は急性期医療、地域医療、災害時医療を基盤に、「地域周産期母子医療センター」「関節治療センター」「がんセンター」を3本柱として位置づけ、専門医が最先端の医療を提供できる体制を整えております。また、初期臨床研修指定病院として、徳島大学を中心に県内の医療機関と協力して、将来の徳島の医療を担う若い人材を育成することは診療同様、当院の大きな役目と考えております。
医療圏内の病院との役割分担を考え、令和6年3月31日をもって回復期病棟(40床)を閉鎖しました。空いたスペースには県と協定を結び、コロナ禍の3年間の経験を活かし、パンデミック時には県の要請に対応すべく、12床の感染病棟(平時は休棟)を昨年度中に整備しました。これにより国の第8次医療計画において6事業目として追加された「新興感染症発生・まん延時における医療」にも対応が可能となりました。また、妊婦さんからの要望が高い無痛分娩も地域周産期母子医療センターを中心として開始し、軌道にのりつつあり、少子化のなかでもお産件数は増えてきております。
将来高い確率で生じると言われている南海トラフ地震等の発災時に、病院としての機能を維持することは市民病院が果たす大きな役割の一つです。そのためには平時から準備を図っていくことが重要です。トイレ一つとっても、昨年の能登半島地震でも大きな問題となりました。医療だけでなく簡易トイレを含め備蓄品のさらなる充実も必要です。このように公立病院として、いわゆる不採算と言われる行き届きにくい医療や、発災時の環境整備の準備もしっかり行っていきたいと思っております。
一方で、公立病院として経営健全化は喫緊の課題です。昨年は6年に一度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定で、職員は非常に頑張ってくれていますが、賃金や物価・光熱費の高騰で、病院経営は非常に厳しい現実に直面しております。しかし、地域の中核病院として「ここに在って欲しい、在ると安心」と思っていただける病院を目指し、当院の理念であります「思いやり・信頼・安心」を職員全員がしっかりと胸に刻み、市民の方々から信頼してもらえるように病院運営に注力していく所存であります。今後とも何卒徳島市民病院をよろしくお願い申し上げます。
2025年4月1日
徳島市病院事業管理者 三宅 秀則
地域住民の方々や多くの先生方には、日ごろよりご支援をいただき誠にありがとうございます。院長就任当初から、私には市民病院を患者さんや連携医療機関の先生方、病院スタッフをはじめ、誰からも信頼される病院にしたいという目標がありました。この目標を達成するためには、皆で市民病院をより良くしていこうという志を共有し、円滑なチーム医療ができるように努力し続けることが必要です。また、この地域における存在意義や強み・弱みを認識し、周りの病院や診療所と連携・協調していくことが大切だと考えています。
ポストコロナで通常業務に戻った2024年度から、病院経営・運営はより難しくなったと言われておりますが、当院では急性期病床稼働率90%以上、救急車の受け入れを月300台以上と具体的な目標を掲げ、スタッフの奮起を促しました。その結果、病床稼働率は上昇し、大学から救急医の派遣協力もあり、2024年ははじめて救急車の受け入れ台数が3000件を超えました。お陰様で病院運営は良い方向に向かっており、連携医療機関の先生方からの良い評価もいただき、当院の存在価値は確実に上がっております。
当院の特徴である3センターの2024年実績に関しては、地域周産期母子医療センターでは無痛分娩を開始してから分娩数が増加し、がんセンターではロボット支援システム(ダヴィンチ)の適応症例が77件でした。関節治療センターではナビゲーションシステムやロボットアーム支援システムを使用し、人工関節の手術件数が609件と過去最高でした。当院の評価が高くなるとともに忙しい部門・部署が増えていますが、利他の心、恕の心をもって共に協力すれば、働きやすい環境になると思います。2024年から始まった働き方改革に加えて、全国的な人口減少に伴う人手不足によって、当院でも今後人員は容易には増えないことを鑑みると、さらなるタスクシフトやタスクシェア、業務の効率化や2交替制などの勤務体制の改変と医療DX導入を積極的に進めていく必要があります。
これからもスタッフ一同、徳島市民病院が公的医療機関であり、地域医療、救急医療を支えていく中核病院であることを自覚し、連携医の先生方とともに協力して徳島の医療を支えていく所存です。引き続き、多くのスタッフがプライドをもって働きやすいと共感でき、誰からも信頼される病院を目指してまいりますので、本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年4月1日
徳島市民病院 院長 中野 俊次